小説

らき☆ぽけ



第2話「正義のポケモントレーナーと正義のカモネギ!!」




元の日常に戻る為・・・というかこの奇妙な夢から醒めるため、かがみとこなたがポケモン世界の旅を始めて今日で2日目。

かがみたちはムギー博士の言った通りコノミタウンへと向かっていった。

「ふぅ・・・コノミタウンってところまで・・・後、半日ってところね?」

かがみはどさっと岩場で腰を下ろす。

流石にこの前まで普通の女子高生のかがみにとって丸1日歩き詰めというのはかなり辛いものがあるらしい。

一方でこなたはボールからヒコザルを出し、元気にポケモンバトルの修行をしていた。

「熱心ねぇ・・・全く宿題とかもあれくらい熱を入れて出来ないかしら?」

かがみもボールからチコリータを出し、膝に置きムギー博士に貰ったポケモンフーズを与えていた。

こなたたちの熱意に呆れ顔のかがみ。

「こなたぁ!あんた、少し休まないと体力持たないよ!?」

「貧弱だなぁかがみんは・・・まだ旅して二日だよ?こんなで息切らしてたらこれからが思いやられるよ!!それよりも今はレベルアップ!!」

かがみとは対照的にどこか楽しそうなこなた・・・。

「あいつ・・・完全に楽しんでるわ。」

また一つため息・・・。


その時、かがみのすぐ上をバササッ何かが通り過ぎた。

上を見上げるかがみ・・・。

「鳥・・・?」

かがみは自分の頭を過ぎていったその鳥を目で追う。

「・・・あれは?」

かがみが首を傾げる。

ポケモンのようだが・・・かがみにはあまり見覚えがない・・・。

いや・・・どこかで見た覚えがあるが名前が出てこないのだ。

「そうだ・・・ポケモン図鑑!!」

かがみはムギー博士に託された図鑑を手にその鳥の名前を調べる。

「ムックル・・・へぇ・・・シンオウのポケモンかぁ・・・。」

かがみは納得した。

情報誌とかでみたことはあったが実際にかがみはポケモンのDPをプレイしたことがないのだ。

まぁ知らなくて当然である。

「・・・・」

羽を繕っているムックルを見ながらかがみは考える。

こなたはヒコザルと一緒にどこかへ行ってしまった。

恐らくトレーニングだろ・・・。

「よし!チコ、こなたに黙ってゲットしちゃうか!?」

「チコッ!!」

かがみの言葉にチコリータは嬉しそうに乗った。


そして、ムックル相手に戦闘態勢に入る。

「えーと・・・チコの覚えてる技は・・・へぇ結構覚えるんだ。」

かがみは図鑑を見ながら関心に浸る。

「よし!チコ、”たいあたり”!!」

「チコ!!」

チコリータがムックルめがけて突撃する。

未だに自分が狙われていることに気付いてなかったムックルは向かってくるチコに気づき大慌てで羽をばたつかせる。

・・・が時既に遅し、チコリータの”たいあたり”は見事にムックルに命中した。

「ムックゥ!!」

「やった!!」

初めての攻撃が気持ちいいくらいにヒットして、爽快感を味わうかがみ!!

しかし、ムックルは怒ったのかチコリータに向かって同じく突進してくる”つばさでうつ”だ!!

「ムクー!!」

「あれは、確かひこう技だったわね?チコには大ダメージ!!」

かがみが考えてる間にムックルの攻撃がチコに命中。

「チッコォ!!」

チコは吹き飛ばされる。

かなりの痛手を受けたようだが、なんとか立ち上がることが出来た。

「よーし!偉いわよチコ!!”つるのむち”で捕まえて!」

「チッコ!!」

チコはムックルの両翼をひっつかむとムックルの動きを封じる。

「ム・・・ムク!!」

ムックルはチコリータによって見事に地面に叩きつけられる。

「ム・・・!!」

「よし・・・お願いモンスターボール!!」

地面でのびるムックルに狙いを定めてかがみはすかさずモンスターボールを投げた。

モンスターボールはムックルを吸いこむように入れるとカタカタと揺れ動く。

中でムックルが抵抗シテいるのだろう。

そして・・・ボールの動きが止まった。


「・・・・」

かがみはゆっくりとボールに歩み寄るとツンと人差し指でボールを突いてみる。

そして、完全に中に入ってるのを確認すると嬉しそうに立ち上がった。



「ムックル、ゲットだぜー!!」



普段のかがみらしくない歓喜の叫びだった!!



かがみがムックルゲットに励んでいる一方でこなたは、どこかで見覚えのある様なポケモントレーナーに声を掛けられていた。

「やぁ!!俺はしがないポケモントレーナー・・・その名も白石みのるだ!!君は?」

「えと・・・泉こなただけど・・・。」

こなたが急な白石の話し方に正直引く・・・。

(なんだよこの人は・・・?なんかウチのクラスのセバスチャンに似てるなぁ・・・というか本人なんじゃ・・・?)

こなたはどことなく見覚えのある顔に困惑はしていたが白石の要件がポケモンバトルということで無駄なことを考えるのはやめた。

「ま、お手柔らかにね?セバスチャン!!」

こなたのこの台詞は明らかに社交辞令である。

ぶっちゃけ手加減なんてされたくはない。

やるなら全力マックスで!!がこなたの精神である。

「使用ポケモンは1匹!!いいな?」

どことなく偉そうな白石の態度にこなたはどことかしら苛立ちを覚え始める。


そんなこなたの心中をよそにバトルは始まった!!

「よーし!!頼んだよヒコザル!!」

「俺の相棒はこいつだ!!タツベイ!!」

こなたはヒコザル、白石はタツベイをそれぞれフィールドに繰り出す。

「タツベイ・・・?あぁボーマンダの初期型か・・・また珍しいくせに地味なポケモン持ってるねぇ?」

「地味とか言うなぁ!!タツベイ”ずつき”だぁ!!」

「ヒコザル、かわして”みだれひっかき”!!」

ヒコザルは頭から向かってくるタツベイ相手に身軽にジャンプでかわすとタツベイの後ろを取り、背中に強力なひっかき技を繰り出す。

「ベヤァ!!」

「キー!!」

「負けるなタツベイ!!卵から孵ったお前の力見せてやれ!!”ハイドロポンプ”!!」

「ターツ・・・べーイ!!」

タツベイの口から強力な水流が放出される。

「ヒコザル、避けて!!」

この攻撃は流石に慌てたのか、こなたは急いでヒコザルに回避を促す。

「ウキ・・・?」

しかし・・・こなたの予想を裏切り、タツベイの”ハイドロポンプはヒコザルを逸れ、全く別方向の大木に当たってしまった。

「レベルが足りないよ?ヒコザル、”かえんぐるま”!!」

ヒコザルは炎に体を纏い、そのまま転がる要領でタツベイに突撃した。

「ベー!!」

ヒコザルの攻撃にモノの見事にタツベイは吹き飛ばされた。

「べーイ・・・。」


そして、タツベイはそのまま戦闘不能へと・・・。

「くっ。。。戻れタツベイ!!」


「キッキー!!」

「ブイ!!」

勝利を喜ぶヒコザルにこなたは大きなVサインを差し出した!!




「こなたの奴遅いなぁ・・・。」

かがみはこなたをゲットしたばかりのムックルをボールから出し、膝に乗せながら持っていた櫛で毛を繕ってやっていた。

「おーい!!かがみ〜!!」

かがみの後ろから元気な声が聞こえてきた。

かがみが後ろを振り返るとやや満足げな表情を浮かべたこなたが走ってきた。

「遅かったじゃない?どしたのそんなに嬉しそうに・・・?」

やけに嬉しそうに顔を緩ませるこなたにかがみは少し不審そうに見る。

「さっきバトルしてきたんだよ!」

「バトルってポケモンの?」

「何言ってんのかがみ?この世界でバトルといえばポケモンバトルじゃないか?」

少し小馬鹿にしたようなこなたの言い方にかがみは少し顔をムッとさせる。

「で?勝ったの?・・・ってまぁその表情じゃ結果は分かるが!!」

かがみの言葉にこなたはピースサインを出して見せる。

それをかがみは「はいはい」と軽く流す。


「おっ?」

こなたは上機嫌で話しているとかがみの後ろにチョコンといる見慣れぬ面子に気がついた。

「ムックルじゃん?かがみにやけに懐いてるね?」

こなたがしゃがみこんでムックルの頭を突く。

それにムックルは特にこなたに関心なさそうに羽根を繕う。

その態度にこなたは面白くなさそうな顔を浮かべる。

「む・・・私には懐いてない!!かがみには懐いてるみたいなのに・・・」

「まぁ・・・あたしのポケモンだし。」



「・・・へ?」



こなたに衝撃走る・・・。

「か・・・がみのポケモン?」

「そうよ?」

「いつの間に!!」

こなたのショックはかなり大きいらしくその場でへたり込む。

「いつの間にってあんたがどっか行ってる間によ!?」

「私もゲットしてないのになー・・・。」

「あんたがチンタラしているからよ?」

かがみが少し勝ち誇ったような嫌味な視線をこなたにぶつける。


こなたはしばらくして立ち直り、立ちあがる。

「まぁいいや。私もその内珍しいポケモンゲットしよ!!」

「おう!そうしな!!頑張れー!」

かがみが移動準備を進めながら心無い励ましの言葉をこなたに送る。

「でもかがみんも分かってるねぇ?」

「何がよ?」

「だって最初にゲットしたポケモンが飛行タイプって・・・ちゃんとお約束守ってる感じがするよ?」

「いや・・・訳分からんよ?」

こなたの一喜一憂のペースには正直かがみには追い切れないものがあったようで、もう若干棒読みの突っ込みを入れた。




東風吹く街・コノミタウン


「おいおい・・・また鋼の洞窟で犠牲者が出たみたいだぜ?」

「マジかよ?これで何人目だ?」

コノミタウンで担架で運ばれた男性とそのポケモンたちが町人にポケモンセンターへと運ばれていた。

担架で運ばれた男性は頭から血を流し、ぐったりとした表情だ。

すぐにジョーイさんが駆けつけて、男性のポケモンを奥の治療室へと運びこむ。

「ひでぇな・・・早くなんとかしないと・・・洞窟のポケモンたちも危険だぞ?」

「くそっ!誰か腕のたつトレーナーがいてくれたなら・・・。」


そんな人々の不安が漂うこの街であるポケモンがこの不安の闇をなぎ払う救世主となろうとしていた。




コノミタウンへと向かうためのルートのひとつである森でひどく傷つき腹を空かせながら手に持つネギを杖がわりにフラフラと街へと向かうカモネギ。

「カモォ・・・」

カモネギは目を虚ろとさせながら、コノミタウンを発見する。

そして、力なくその街に入ってきた。

人気はなくカモネギに気づくものは誰もいない・・・。

「カモォ・・・」

カモネギは特に当てもなくフラフラと近くにある民家に入っていく。

「きゃっ!!」

「カモ?」

カモネギが上を見上げると水色の髪の少女が自分を見て驚いている。

どうやらこの民家の住民のようだ。

「この子・・・カモネギ?」

「カ・・・モ。」

少女が目を見開く前でカモネギは限界に達したか力なく倒れた。

「ちょっと、あなた大丈夫!?」

急に倒れ出したカモネギに驚く少女。

「ど、どうしよう・・・」

パニくって部屋の中をいったりきたりとウロウロする少女。

そして、2分ぐらいするとようやく冷静さを取り戻してきた。

「と、とにかくポケモンセンターだ・・・。」



コノミタウンポケモンセンター

カモネギを抱えた少女がポケモンセンターに駆け込んできた。

「マリンちゃん?そのカモネギは?」

さっきの騒ぎで集まっていた街の人々が一斉にカモネギを抱えた少女・マリンをみる。

「急に倒れたの!!ジョーイさんは!?」

「ジョーイさんなら今奥で鋼の洞窟でやられたポケモンたちの治療中だが・・・」

それを聞くや否や少女は奥へと走り出す。

「ジョーイさん!!」

治療室の扉を激しく開けるとそこではジョーイがポケモンたちの治療の真っ最中だった。

「あら?マリンちゃん、どうしたの?」

ジョーイが急に入ってきたマリンを笑顔で迎える。

どうやら先ほどのポケモンたちの治療が終わったみたいだ。

「ジョーイさんお願いです!!このカモネギを助けてあげてください!!とっても苦しそうなんです!!」

マリンはそう言うと抱えていたカモネギをジョーイに渡す。

「えぇ。もちろんよ?」

ジョーイは傷ついたカモネギをマリンから受け取ると優しくマリンに微笑みかける。

その笑顔にマリンも自然と笑顔になる。

「お、お願いします!」




翌日・・・。


「着いたー!!コノミタウン!!」

「これで一息つけるわね?」

旅行くこなた達は3日の日数を経てようやくコノミタウンに辿り着いた。

かなりの疲れの色を見せるかがみの案でとりあえず二人はポケモンセンターへと向かうことになった。


「えぇ!!カモネギが!?」

ポケモンセンターではマリンがジョーイの話で驚きの表情を浮かべていた。

「なんの騒ぎだろ?」

こなた達の視線が自然とマリンたちの方へと行く。

「どうしたんですか?」

こなたが興味本位にマリンたちの話に入ってくる。

その突然の乱入にマリンは身を怯ませる。

「あ、あなたは?」

「私?私はただのしがないポケモントレーナーだよ?」

こなたがどこか遠回りな自己紹介をする。

それを傍からみているかがみはやれやれといった感じだ。

「で?どうしたの?」

こなたは早く聞かせろとばかりに目を光らせながらマリンに事情説明を催促する。

「実は・・・昨日ひどく傷ついたカモネギがやってきて私慌ててポケモンセンターに運んだんですが・・・。」

「ですが?」

「今日朝見たら消えてたのよ?」

ジョーイが代わりに代弁する。

「話から察するにそのカモネギって野生なんでしょ?じゃあ別に消えてもおかしくないじゃん?」

「そうなんですが・・・」

言葉詰まらせ下を向いてしまうマリン・・・。


そんなマリンの様子にこなたやかがみも黙ってしまう。

「おいさっき鋼の洞窟にカモネギが入っていったぞ?」

「マジでか?勇気あんなぁ?」

ポケモンセンターにやってきた男性二人の会話にマリンはハッと顔を上げる。

「カモネギが鋼の洞窟にいたんですね?」

すがるように男に詰め寄るマリン。

そして事実を確認するとマリンはポケモンセンターを飛び出していった。

「あっマリンちゃん!!」

「・・・?鋼の洞窟って?」

マリンを追うこともせずこなたは冷静にジョーイに事情を聴く。

「この街にある鉱山のようなところよ?いろんな鉱石が採れるんだけど最近、その中に入った人々が最近次々とポケモンに襲われてるのよ?」

「襲われてってる・・・どのポケモンに・・・?」

「さぁ町の人は鉱山に棲むハガネールじゃないのかしら?」

ハガネール・・・その名前はかがみでも聞いた覚えがあった。

そして、かがみの中の何かのセンサーが警告を告げた。

「ねぇ・・・こなた?あんたさ何考えてる?」

かがみは恐る恐るこなたに聞いてみる。

「ん?今かがみが心配してるようなこと考えてんじゃない?」

かがみの不安を煽るようにこなたはあっさりと言ってみせる。

「ちょっと、あんた!私たちの手持ちを考えなさいよ!?3匹しかいないのに対抗できるのあんたのヒコザルしかいないじゃない!?」

「十分十分!!なに?かがみ怖いの?」

こなたの余裕な笑みにかがみは一瞬ムカッとさせるが、しかしここは挑発には乗らず、冷静に話を進める。

「大体あんたなんでそんな乗り気なのよ?ヒーロー気取り?」

そういうとこなたは笑いながら・・・目を輝かせながらこう言った。

「何言ってんのかがみ!?昔一度は思ったでしょ!?ゲームの世界で冒険してみたいとか行ってみたいとか!!それが今叶ってる真っ最中じゃん!!満喫しなきゃどうすんの!?」

こなたの極上の笑顔にかがみはこれ以上反論できなかった。

というか気が失せたといった方が妥当だろう・・・。

(私の思ってる以上に純粋で不純な動機だな・・・。)

かがみはこなたの様子を見ていると諦めたように大きくため息をついた。

「はぁ・・・まぁさっきの女の子迎えに行くくらいなら付き合ってあげるわよ?」

かがみの言葉にこなたは知ってた知ってたといった感じで顔をニヤニヤとさせながらかがみに抱きつく。

「さっすがかがみ様〜!!そうでなくちゃ!!」

「うるさい!サッサと行くぞ!!」

かがみはこなたを引き剥がすと鋼の洞窟へとやや早足で向かっていった。




「カモネギー・・・?どこにいるの?」

鋼の洞窟内部・・・。

マリンが少し怯えながらカモネギの名を呼び続ける。

「どこ行っちゃったんだろ?」

中はさほど複雑ではないが薄暗く、冷たい空気が流れ込んでくる。

これらは幼いマリンを一層に委縮させてしまう。

かなり奥に入ってくるとさらに暗くなり、足元もおぼつかない。

周りを見ると火の消えた蝋燭・・・。

マリンはそれを見ながら自分の準備不足を嘆いた。

「・・・ん?」

さらに奥へと行くとマリンの足に何か固いものが当たった。

マリンは何かと思い目を凝らしてみてみる。

鋼状の・・・長いもの・・・

それを認識したマリンはその先を目で追っていき、ようやくその全貌が理解できた。

・・・と同時にマリンの顔は青ざめた。

「ハ、ハガネール・・・!!」

マリンは恐怖のあまり後ずさりしてしまう。

しかし、何やら様子のおかしいことにマリンは気付く。

「このハガネール・・・倒されてる?」

倒れ動かないハガネールへとおそるおそる近づき触ってみるマリン。

・・・反応はかすかにある!!

胴体が少し動いたのだ。

「ど、どうしよう・・・このままにしておけないし・・・」

おろおろするマリン・・・。

そんなときマリンにある声が飛び込んできた。

「カモー!!」

「カモネギ!?」

マリンはハガネールが多少気になったものの向こうにカモネギがいることが分かるや否やダッシュで奥へと急いだ。

「こ・・・これは!?」

奥へと行くとカモネギはいた・・・。

しかしカモネギは・・・あるモノと戦っていた・・・。

それは・・・

「ノォー!!」

「クァモ!!」

カモネギが戦っていたモノ・・・それはノズパスの群れだった。

「ノズパス・・・!?じゃあ、あのハガネールを倒したのもこのノズパスの群れ!?」

マリンは更に驚くべきものを見つける。

「あれは・・・クチート!?」

マリンが見たものはノズパスの群れに必死に抵抗していたクチートだった。

しかし、ノズパスたちに四方八方で囲まれやられているお陰でクチートは手も足も出ないといった感じだ。

カモネギもクチートを守ろうと必死に抵抗する。

「まさかカモネギ・・・クチートを助けるために・・・?」

しかし、ポケモンを持たないマリンにはどうすることも出来ない・・・。 しかし、カモネギの奮闘の甲斐あって、クチートの逃げ道を作ってやることが出来た。

「やった!こっちにおいでクチート!」

クチートを誘導するマリン・・・。

しかし、クチートはこっちに来ようとしない。

「どうして?」

そんなこんなしてるうちにノズパスにクチートは道を塞がれてしまう。

クチートの様子から察するに別に逃げたくない訳ではないみたいだ。

むしろ一刻も早くこちらへと逃げたい・・・というののが伝わってくる。

しかし、こっちに来ないのは理由があった。

それにマリンはようやく気付く。


「まさか、あのノズパスたち”じりょく”なんじゃ・・・?」

それと同時にマリンの顔が青ざめる。

「じゃあ、あのノズパス達全員倒さないとクチートは助からない・・・」


マリンが絶望に浸っていると、ノズパスがマリンの方へ目を向ける。

「ひっ・・・」

怯え、後ずさりするマリン・・・。

「カモ!?」

カモネギがそれに気づきマリンを助けようとするが行く手をノズパスが防ぐ。

「ノォー・・・」

ノズパスの前にグルグルと回る複数の岩が現れる。

(ストーンエッジ?・・・助けて!!)

ノズパスがマリンに向けてそれを放った直後・・・

それは来た。

真っ赤に燃え盛る炎に身を包んだヒコザルがノズパスのストーンエッジを捨て身で防いだ。

「・・・あなたはポケモンセンターにいた・・・」

「マリンちゃん大丈夫?」

ヒコザルに遅れてやってきたのはマリンとほぼすれ違いざまにポケモンセンターにやってきた二人にの少女だった。

「私はこなた!こっちはかがみ!!正義のポケモントレーナーさ!!」

「下らんこと言ってんな!!」

こなたがマリンに軽い紹介を済ませると、現状を早くも把握する。

そして・・・聞く。

「あのクチート・・・元々ここのポケモン?」

「は、はい!!」

「ということは見ず知らずのヒロインを助け、人知れず戦ってたんだねカモネギ!!ん〜男だね〜?」

「アホなこと言ってないでさっさと助けろよ?」

感動に浸るこなたに水を差すようにかがみが言葉をはさむ。

それにこなたは少し拗ねた感じで「はいはい」と返事をする。

「敵はノズパスがえーと・・・7体かな?うーん難易度B+って感じかな??」

こなたが冷静に観察をする。

「別にクチートとカモネギ連れて逃げればいいんだから無理に全員と戦うことないんじゃない?」

「わかってないねかがみん?ノズパスの特性”じりょく”からははがねタイプのクチートは逃げらんないんだよ?」

「そ、そうなの?」

金銀世代で止まっているかがみはその辺はかなり疎く、厄介なもんがついたなとばかりにため息を吐く。

「こっちの戦力は・・・カモネギとクチートも入れて5体!!ま、なんとかなる数でしょ?」

確かにそう聞けば結構楽な話に思えてくる。

しかし相性がよくない・・・。

こちらでまともに戦えるのはかがみのチコリータとクチートだろう。

しかし、あの怯えきっているクチートが戦力になるとは考えにくい。

こなたもその辺は重々理解のうえ・・・。

かがみに対する単なる気休めでしかない。

それはかがみにも分かっていた。

ならば文句も言えないだろう・・・。

腹を括りかがみはボールから2体のポケモンを出す。

「ムクー!」

「チコ!」

チコリータとムックルが元気よく飛び出した。

「頼んだわよ?二人とも!!」

「ムクッ!!」

「チッコ!!」

気合十分のようだ!!

そのお陰でかがみにも勢いがつく。

「カモネギー!クチート!私たちと協力してこのノズパスを倒そう!!」

「クッチ!!」

「カモッ!!」

あちらの2体もそれを承知したように元気に声を上げる。


「じゃあ、こなた軍突撃!!ヒコザル、”ひのこ”でノズパスの目をこっちに向けさせて!!」

「ヒーコォ!!」

ヒコザルがマシンガンのごとく小さな火の球をノズパスたちにぶつける。

「ノォ!!」

それに気づいたノズパスがこなたたちの方へとまっすぐ向かってくる。

・・・いや突進してくる。

そこにかがみとチコリータが前に出た。

「チコ、”はっぱカッター”!!」

「チーコ!!」

チコリータのはっぱカッターがノズパスに炸裂する。

効果一致だかなりのダメージだ。

ノズパスは動きを止めてしまった。

「チャンス!”つるのむち”でノズパスを投げ飛ばして!!」

「チィークォ!!」

チコリータはつるを使ってノズパスを持ち上げると、仲間のノズパスが2、3匹固まっているところにそのノズパスを叩き落とした。

「おぉ!!見た目と違ってパワフルなチコリータだね?」

こなたがチコリータの想像以上の力に素直に驚いた。

さすがのノズパスも一匹戦闘不能になっていた。

「よし!これで後6匹ね!?」

かがみが勢いづき、チコリータを使ってノズパス達に確実なダメージを与えていく。

「私たちも負けてらんないよ!?」

そういうとこなたとヒコザルがかがみの前に出た。

「ヒコザル、ノズパスの足元に”かえんぐるま”!!」

「キキ―ッ!!」

ヒコザルの”かえんぐるま”で、ノズパスはバランスを崩し転んでしまう。

「よし、そこでもう一度”かえんぐるま”!!」

ヒコザルは大きくジャンプすると落下の勢いをつけた”かえんぐるま”をノズパスに直撃させる。

効果不一致とはいえ、ノズパスはかなりのダメージを受けた。

「ノォー!!」

しかし、ノズパスも負けてはいない。

ノズパスはジャンプすると、その振動で天井の岩を崩し、こなたたちに岩の雨を浴びせにかかる。

「ヒコザル!!」

「キー!!」

ヒコザルはこなたの指示で岩をマリンとこなたの上から取り除く。

ムックル、カモネギも岩を避けるのに精一杯だ・・・。

「あ、クチート危ない!!」

かがみは”じりょく”で思うように動けないクチートの上の岩が崩れ落ちてきそうなのに気づく。

それと同時にかがみの体が動く。

とっさにかがみはノズパスの群れに突っ込み、クチートを身を挺してかばう。

岩の落ちて来た場所はかがみの顔面すれすれだ。そのことにかがみは軽く息を呑んだ。

「かがみ!大丈夫」

「し、死ぬかと思ったわよ!」

こなたに呼びかけにさすがのかがみも息絶え絶えに返事をする。

「クチー・・・」

「大丈夫、クチート!?」

かがみは自分の腕の中で大した怪我のないクチートを見てホッと安堵の息をする。

そして、かがみは気付く。

クチートを助けたさいにノズパスの群れの中心にいたことを・・・。

軽く青ざめるかがみ・・・。

チコリータはこなた達と同じ向こう側にいた。

経験の浅い二人にとって間にノズパスを挟んだ指示のやりとりは想像以上に難しいものがある。

「やるっきゃないか!」

「ムクー!」

その時、ノズパスの上からムックルが飛んできた。

「そうだ!まだムックルがいる!!」

かがみはもう一人の仲間の存在に笑みを浮かべる。

「よーし、ムックル、”つばめがえし”!!」

ムックルはノズパス相手に”つばめがえし”をお見舞いする。

しかし、ひこうタイプの技はノズパスには効果が薄い。

「やっぱダメか・・・。」

かがみが策を練っているとクチートが黙ってかがみの服を引っ張った。



「これで、3匹・・・後4匹か・・・かなりきついもんがあるね?」

「キー・・・」

ノズパスを2体撃破したこなたたちだったがヒコザルの息が上がってきた。

「あんまり時間かけるもんじゃないね?」

「キーッ・・・」


「さて・・・どうするかな?・・・ん?」

残りのノズパスの処理に立ち尽くしていると、こなたは何かに気づいた。

ノズパスの群れの後ろに見える影にこなたはにやりと笑みを浮かぶ!


「よし・・・ヒコザル!ノズパスの足元に”ひのこ”!」

「ウーキー!!」

ヒコザルがノズパス達の足に力続く限りの”ひのこ”を浴びせる。

そして、徐々にダメージが蓄積されていく・・・。

そして、足元が崩れた

「ノォ?」

「今だ!!」

すると横一列に並ぶノズパス達の真横からカモネギが現れた!

「カーモ―!!」

カモネギはバランスを崩し、若干浮き上がったその足を掬い上げるようにご自慢のネギで斬った。

直接的な効果はいま一つだったが、切られたノズパスはバランスを崩し、横のノズパス達に当たり、ドミノのようにバタバタと倒れていった。

「よーし、一気にたたみかけよう!!」

「チコ、”はっぱカッター”!!」

チコリータのはっぱカッターの猛襲がノズパス達に確実なダメージを与えていく。

そして、一体、また一体と戦闘不能になってゆく・・・。

「よし、あと2匹!!」

しかし、ノズパス達は再び体を起こしこなた達を睨みつけた。

「ムックル!!地面に”ふきとばし”!!」

かがみは怯むことなく、ムックルに指示を与える。

地面に舞いあがった風は砂塵を起こし、ノズパスの視界を防ぐ。

「ノォ!?」

砂塵の中の小さい影がノズパスに強烈な一撃を加える。

「クチート!!」

マリンの歓声が上がる。 彼女たちの目に映ったものはノズパスの背後からクチートの強力な拳を加えていることだった。

「あれは、”れいとうパンチ”・・・!?あのクチート”れいとうパンチ”覚えてるんだ!!」

あまりのレアなクチートにこなたも目を見開かせる。

そして、いつの間にかチコリータがもう一匹のノズパスを倒していた。

「チコ!!」

「クッチー!!」

チコリータやクチートはとても嬉しそうにかがみに勝利のハイタッチを高いジャンプでやる。

かがみもどことなく嬉しそうだ・・・。

「これで、私たちの完全勝利だね!!」

「そうね!!」

二人は達成感を身に感じ、勢い余ってハイタッチをした。


そんな中、こなたたちの後ろでバサっという音と共にカモネギが倒れた。

「カモネギ!!」

慌てて抱き起すマリン・・・

急いでこなたたちはカモネギをポケモンセンターへと運んだ。



カモネギ療養中を利用してマリンとこなたたちは改めて自己紹介に入った。

「どうも危ないところをどうもありがとうございます!!」

マリンは本日3回目のお辞儀に入る。

「別にいいよ?それよりどうしてカモネギは鋼の洞窟に行っちゃったんだろうね?」

「それとマリンちゃんも・・・!!」

こなたとかがみの質問にマリンは少し考えた後静かに語り出した

「あのカモネギ・・・昨日家ボロボロになって入って来たんです。すぐポケモンセンターにいったんですが、あのカモネギ意識を取り戻した時に私やジョーイさんに泣きながら土下座をしたんです。」

「ど、土下座・・・。」

「フフ可笑しいですよね?ポケモンなのに土下座って・・・。」

マリンは明るく振り舞おうと無理にに笑ってみせる。

こなたとかがみはただ黙ってマリンの話に耳を傾ける。

「それで鋼の洞窟へ行ったって聞いた時・・・もしかして私への・・・あの子を救った私たちへの恩返しをしてるんじゃないのかって思えて・・・。そしてら無視できないじゃないですか・・・。」

マリンはどこか切ない声を出す。

もし、マリンの話通りなら・・・なんて義理と人情味にあふれたカモネギだろうか・・・

こなたとかがみはただただ感心に浸っていた。

結果的にはこなたたちに助けられた形とはなったがそれでもカモネギの厚く、熱い心はこなたには十分すぎるほど伝わった。

「じゃあ、私たちはもう行くよ?」

翌朝、ポケモンたちの治療も買い出しも終わり、こなたとかがみはコノミタウンを後にすることになった。

ポケモンセンターの前でマリンとジョーイに見送られる。

「じゃあ、お気をつけて・・・ポケモンリーグ頑張ってください!!」

「おうおう!!」

(本来の目的はそっちじゃないけどな・・・)

マリンの見送りのエールにこなたは上機嫌で答える。

その一方でかがみが朝っぱらから景気の悪そうなため息をつく。

「トウハトまではここを北にすぐよ!!」

「ちなみにすぐというのは具体的にどのくらいで?」

ジョーイの親切な教えにこなたは不安そうに疑いの声を掛ける。

その訳は前回ムギー博士にコノミにはすぐに着くと言われていたにも関わらずこのコノミタウンに至るまで丸3日を要したからだ。

しかし、ジョーイの答はいい意味でこなたたちの期待を裏切った。

「ここから、1日もないわよ?夕方には着くんじゃないかしら?」

「マジですか!?」

こなたとかがみの顔がパァと明るくなる。

これで旅にも勢いがついたというものだろう。

こなたは早速マリン達に背を向けトウハトシティまで軽快な足取りで歩いていく。

「よーし!トウハトまで一気に行くよ!!」

「じゃあ、またね!!カモネギによろしく!!」

かがみ達は歩きながら慌ただしい挨拶をマリンにした後そのまま振り返ることなくトウハトシティへの道を進んでいった。

そんな二人にマリンは盛大に手を振って見送った。

「行っちゃいましたね・・・」

「・・・はい。」

ジョーイの言葉にマリンは少しさみしそうな声を出す。

それは別に彼女たちとの別れが辛いからではない・・・。

マリンには一つ心残りがあったのだ。

それは・・・

「ラッキーラキー!!」

急にラッキーがポケモンセンターから慌ただしく出てきた。

何事かとジョーイは急いでポケモンセンターに駆け込む。

「カモネギ・・・がいなくなってるわ・・・。」

昨日からずっと療養中だったカモネギが再び姿を消していた。

窓が開いてるとこをみると恐らく窓から出て行ったんだろう。

「今度はどこに行っちゃったのかしら?」

心配そうにするジョーイとは裏腹に後ろでマリンは小さく安堵のため息をついていた。

そう・・・マリンにはなんとなく分かっていた。

昨晩、ベットで横になるカモネギと話し合ったのだから・・・。

(頑張ってね?カモネギ・・・しっかり恩義を果たしてね!!なんたってあの人たちは・・・”正義のポケモントレーナー”なんだから!!)

マリンは遥か空を見上げ、カモネギの武運を祈った。



「ちょっとこなた・・・。」

「ん〜どうしようかね?」

後ろから黙って付いてくる一匹のポケモン・・・。

かがみとこなたにはなんとなくそのポケモンの用件が分かっていた。

大きく鼻から息を抜くと、こなたはようやく後ろに振り向いた。

「カモネギ・・・一緒に来るかい?」

「クワァモ!!」

コノミタウンから付いてきたカモネギが嬉しそうな声をあげてこなたに寄って来た。

同時にこなたもモンスターボールを投げる。

赤い光に包まれるカモネギ・・・。

2,3回震えた後・・・ボールの中に完璧にカモネギが入った。


「よーし・・・カモネギゲットだぜ!!」


こなたがお決まりの言葉を嬉しそうに大声で挙げた。

「でも・・・なんでわざわざゲットされにまで来たんだろ?」 「私には何となくわかるけどね・・・あんたがマリンちゃんに下らんこと言うからだろ?」

そうかがみに言われこなたは上を見ながら記憶を手繰る。

そして、思い出す。

「あぁ〜そういえば”正義のポケモントレーナー”とか言っちゃったね?なるほどマりんちゃんから伝わったか・・・。」

「まぁ同志って思ってんでしょうね?」

かがみが苦笑する。

しかし、こなたは満足そうだ。

「でもこれで私も2体・・・かがみと並んだね?」

ようやくゲット出来たポケモンにこなたは喜びを隠せなかった。

「・・・私、手持ち3匹よ?」

「へ?」

かがみの言葉にこなたは不意打ちを食らったかのように固まる。

「あれ?言わなかった?出ておいで?」

そう言うとかがみは3つめのボールからゲットしたてのポケモンを出す。

「クッチー!!」

中から出てきたのは昨日のクチートだ。

「あの後、この子妙に私に懐いちゃって・・・あそこで一人で置いておくのも不憫だし・・・ゲットしちゃった!!」

かがみはこの微妙な空気を振り払おうと無理に明るく言ってみる。

・・・が、こなたのテンションはダダ下がった。

「なんか常に私がかがみに一歩後れを取ってるみたいで・・・悔しい。」

さっきまでの勢いは止まるも、すぐにこなたは立ち直る。

「ま、いいや・・・後から一発逆転だよ!!」

「逆転って・・・何の勝負よ?」

「なに言ってんの?私とかがみんはライバルじゃんか!」

こなたの妙に明るい言葉にかがみは最初不満を漏らすも”競う”というものに対しては嫌いではなかったのでとりあえず妥協した。

「じゃあ、行くよわが友よ!!目指すはトウハトシティだ!!」

そう言うとこなたは全速力で走り出した。

それを「やれやれ」といった感じでかがみも小走りで追いかける。


新たな仲間たちを加えたこなたとかがみが目指すは最初のジムのあるトウハトシティだ!!

こなたたちの旅はまだまだ続く!!




あとがき


どもぽちゃです!!

ども!おつカルキ!

・・・は?って感じですか?

いいんですよぉ別に・・・!!

でもほんとに長かったですね?無駄に・・・

いや無駄・・・じゃない!!

無駄なんかじゃないさ!!

えーと特に特筆して書くこともないんで締めますか?

あ、締める前に少しだけ・・・

まずカモネギとクチートは最初から決まってました!!

強引すぎましたか?

・・・すいません。

結局12月アップになっちゃいましたね?

ぽちゃは平気で嘘をつくなぁ・・・

これには挿絵がつくのかな?

知らない!!

次回はジム戦です!!なるべく早く終わるように頑張ります!!

でも1週間はかかります!!

すいません!!

じゃ、また